2日目 その8 チョコレートのピラミッドとコロッケとチキンカツ 京都2013

桂離宮から京都行きのバスに乗り、さて今日の夜ごはんは何にしよう?と考えを巡らせました。本当はタンドリーチキンのお店に行ってみたかったのですが、予約をするのをすっかり忘れていました。恐そうなお店なので、予約なしじゃ行けないだろうな…と思い、次はどこ行きたかったんだっけ?とiPhoneを操りながらカフェやら何やらを探していました…しかしぷつんと記憶が途切れ、気付いたらそこは京都駅。疲れきって眠ってしまったらしいです。きまらなかった…と、とぼとぼ歩きだしましたが、どこに行くか決めないと、地下鉄に乗るのかバスに乗るのかも決められません。とりあえず、はっきり行きたいお店が1軒あったので、そこへ地下鉄で向かうことにしました。

四条駅で下り、錦市場を抜けて、やってきたのは京都でパティスリーといえば!のオ・グルニエ・ドールです。ここ数年、行きたい行きたいと思いつつ、定休日に訪問してしまうウッカリぶりだったので、いつ来てもシャッターが下りてるイメージがあったのですが、初めて開いているところを見ました。やったー!やったー!
細い路地のようなアプローチを抜けて中に入ると、まるで南仏のような乙女インテリア。マダムが好ましく思いそうな高級感さえだたよう内装です。もう夕方だったので、ケーキのショーケースはほぼ空っぽでしたが、少ないながらもどれもおいしそうだったので、少し悩みました。

悩んだ末に選んだのは、お店のスペシャリテであるピラミッドです。運よく残ってました。季節がらチョコレートは少し重くて敬遠されていたのかもしれないですが。でもココアをふりかけられた薄いピラミッド型チョコレートでコーティングされた中身は、濃厚ながらもなめらかなチョコムースで、初夏でもおいしく頂けました。ココアのビスキュイと段になってました。とても美味しいのに、イルプルのケーキを食べ慣れた身には、これくらいならふつう、と感じてしまうことが悲しい。

もう1つはバジルのレモンタルトを選んでみました。バジル…ケーキにバジル…と思い悩んだのですが、レモンタルトをどうしても食べたかったので、バジルは冒険ということであきらめて購入したのです。もりもりのメレンゲの下のレモンクリームの中に、きざんだバジルがたっぷり入っています。食べてみて、それほど違和感がないことにまずビックリしました。食べ進めて、鼻に抜けるバジルの香りがレモンのさわやかさを倍増させてくれていることに気付きました。かなり美味しくて、これが京都のNo.1パティスリーのシェフのセンス…!と感動しました。タルトやメレンゲのパーツ1つ1つも丁寧な仕事ぶりであります。

食べ比べ用にできるだけ買うようにしているフィナンシェとマドレーヌも購入しました。フィナンシェはしっとり甘い、日本のパティスリーの標準的なタイプ。マドレーヌも、ふわっとレモンの香りが漂うかなり基本なレシピに沿って作られていると思われるものでしたが、パサつき感は気にならず、とても美味しかったです。でもやっぱり簡単な焼き菓子だと、どこもだいたい味が似ていて、差別化はしづらいのだなーと感じ入った次第です。

旅に戻ります。ケーキは今から夜ごはんを食べに行くつもりだったので、サロンで食べるつもりは全くなく、ホテルで食べようとお持ち帰りしました。しかしここではっ!と気付きました。あれ?ケーキ持って夜ごはん食べに行くの…?そしたら最低でも1時間以上は持ち歩くのでは…ということに…。今までの経験上、持ち歩いて原型を保っていた記憶がありません。一旦ホテルに戻って夜ごはんのお店の作戦会議を…とも思ったのですが、雨に降られた桂離宮の散策で予想以上に体力を消耗しており、ホテルに戻ったら二度と外には出たくないテンションとなっておりました。
悩みましたが、そういえば、このお店にとても行きたいけど、お持ち帰りしかできないみたいなので行く機会がないかもな…と思っていたお店が1軒あったことを思い出しました。そこで夜ごはんを買って今日はひきこもり夜ごはんにしてもいいかも。と思いついたので、歩いても行けそうでしたが、体力を温存するために近くのバス停からバスに乗って五条に向かいました。

コロッケー(揚げる前)
西富家コロッケ店という、コロッケの専門店です。店主さんはコロッケが好きすぎて、脱サラしてコロッケ店を初めてしまったらしいという記事をどこかで見かけて気になっていたとです。

コロッケのショーケースの横には、バーみたいなカウンター席やカフェみたいなテーブル席が広がっているのですが、利用できるのは、週末の夜の酒場営業のときだけらしいです。そのせいかお店の中全体が少し薄暗く、愛想も必要最低限な店主さんと向き合って、若干の緊張を強いられました。

コロッケは7,8種類くらいあったのですが、当然全て見た目は真っ白(揚げる前)なので、具材の字面で判断するしかありませんでした。くるみとドライフルーツとか、サーモンディルとかオシャレな具が並んでいるのですが、あまりピンとこず、決められません。仕方なく店主さんに「おすすめは…」と小さめの声でお尋ねすると、「えーと…まあ全部おすすめなんですが…(笑顔なし)よく出るのは、プレーンとブルーチーズですかね…」と返されたので、コミュニケーションを楽しむ空気が一切ないことを察知して、「じゃあそれで」と食い気味で回答しました。すぐに揚げてくれたのですが、結構時間がかかり、自分の前に誰か並んでいたら帰るかもしれない…と思ったレベルでした。でも揚げたてであることは重要です。
俵型のコロッケはホテルに持ち帰るまで30分くらいたっていましたが、さくさくでした。1個160円〜200円くらいだったかな?やっぱり揚げたて重要。プレーンはじゃがいも系とクリーム系のハイブリッド型コロッケで、ひき肉が具材として登場してきました。しかし、何かちょっと味がものたりない?と思ってしまいました。ソースかけるのも違うし、何が物足りないんだろう…と考えながら食べ終わってしまいました。
ブルーチーズはコロッケというよりはクロケットとか呼びたいクリーム系が強めのコロッケで、中には当然ブルーチーズが入っています。ブルーチーズ入りのハンバーグがおいしかったので、コロッケもおいしいのではないかと期待したのですが、コロッケベースにブルーチーズが馴染んでなくて、やっぱり少し物足りなさを感じました。こちらのお店のコロッケは、ワインと合わせたりするときに食べるもので、がっつりごはんのおかずにするのは違うのかなあと思いましたです。

バスに乗ってホテルに戻ろうとバス停に向かいましたが、バス停のちょうど目の前に気になるお店があったので立ち寄ることにしました。肉の長崎屋というお肉屋さんです。お肉屋さんですが、ここのコロッケもおいしいと聞いていたので食べ比べてみようと思ったのです。1個70円という良心的価格を見て、間違いないと思いましたが、チキンカツ150円に激しく心引かれたのでチキンカツにしてしまいました。コロッケも買おうと思ったのですが、揚げ物を4個食べる勇気が無かった。

自分の前に並んでいたお客さんがコロッケ30個頼んでたのと、チキンカツそのものを揚げるのにも時間がかかりましたが、「チキン時間がかかるのー。ごめんねー」と店員のマダムが声をかけてくれたので、じっと我慢して待つことができました。牛薄切り肉230円安いなーと感心してたら、、無事チキンカツが揚がりました。大きさは手のひらにのるくらい。そういえばソースが無い…とコンビニに買いに行ったのですが、小さなやつが売ってなかったのであきらめました。味しなかったらどうしようかなーと思いながらたべたのですが、心配無用でした。からりと揚がった衣の中は、ジューシーでしっとりした、下味のしっかりついたチキンがひそんでました。ソースなしでも全然おいしかったです。なおかつチキンの柔らかさとかが絶妙で、今まで食べたチキンカツの中で一番おいしかったです。コロッケもきっと美味しいんだろうな…と買わなかったことを激しく後悔しました。オシャレコロッケを食べて、自分はお肉屋さんのふつうのコロッケが食べたかったことに気付かされました。

揚げモノばっかりで不安になったので、長崎屋で売ってたごぼうサラダもとっさに買ってしまいました。ごぼうの歯ごたえがしっかり残ってて、コンビニのサラダとは一味違うおいしさでした。

さらに野菜不足が心配になったので、コンビニでサラダも買いましたが、お腹いっぱいになってしまったので、結局朝食べました。和歌山産トマトとしらすのサラダです。トマトとしらすのどちらが和歌山産なのかわかりませんでしたが、コンビニのサラダも地方によって違うんだなーと感心したとです。味はふつうですが…。

旅から帰ってきてからも、ひたすらお肉屋さんのコロッケを食べたい気持ちが強まった食事を済ませたあと、関西っぽい番組を見ようと上沼恵美子の番組を見てたら「わたし悪口言わない人って信用できへんわあー」と上沼恵美子がさっくり語っていました。何か、関西に来たわー、と実感できました。この後も関西ローカルと思われる番組をつまらなくても見続けてみましたが、疲れ切ってごぶごぶを見るのをすっかり忘れて寝てしまいました…
明日は最終日ですが、唯一の晴れの日なので、歩きまわって京都観光を満喫するのであります。