1日目 その3 ラ・パティスリー・デ・レーヴの美しいお菓子たち 京都2013


歩いているうちに強くなってきた雨を必死に傘で防ぎながら、高台寺を超えさらに進み、突き当たりの雰囲気の良い街並みにあるお店までやってきました。パリに本店がある、パティスリー・デ・レーヴの京都店でございます。ぱっと見た感じふつうの町家で、中にパリからやってきたパティスリーがひそんでいることを感じさせません。

パティスリー・デ・レーヴは以前パリに行った時に話題になっていたので、なんとなく知ってはいましたが、このレシピ本を手に入れるまでは、その素敵さにはっきりと気付けずにいました。
レシピ本は何か面白そうなレシピ本ないかなーと本屋で立ち読みしているときに、たまたま見つけました。開いてみると今まで見たことがないような形をしたタルト・タタンやパリ・ブレストなどのアントルメ、これまた見たことがない形のクイニーアマンなどのヴィエノワズリー、見た目はオーソドックスでレシピが変わっているマドレーヌやフィナンシェが乗っていて、たちまちトリコになってしまいました。京都店についても触れられていたので、これはこのお店に行くために京都に行ってもいいかもしれないと思ったくらいでした。パリでスルーしてしまったことが悔やまれます。

パリは遠いですが、なんとか京都店には来ることができました。これは2階に上がってから1階を見下げて撮ったものです。大雨・平日・開店直後という条件のせいか、お客は自分しかおりませんでした。入ってすぐ右のたなにならんだヴィエノワズリーとチラ見してから、写真で見て知っていた、近未来的なデザインのショーケースをぐるぐる回ってプチ・ガトーの見本を眺めました。1周したところで店員さんに声をかけられたので、喫茶を利用したいことを告げると、ケーキセットのみで1500円?(くらい・値段わすれた)になります、ケーキを選んで2階に上がってくださいと案内されました。もう1周回ってちょっと悩みながらケーキを選択すると、1800円?(くらい・わすれた・高かった)で選んだケーキに焼き菓子も付けられますが、いかがいたしますか?と聞かれました。当然つけてもらうことにして、2階に上がりました。

2階は喫茶のみで、10席ほどしかなくこじんまりとしていました。グレーを基調としているので落ち着いていましたが、ポイントにピンクをつかっているせいか、どことなくかわいらしい雰囲気です。パリっぽいです。

こんなゆったりしてふかふかなソファ席があります。誰もいないので一番いいポジションに陣取りました!ソファは見た目通りふかふかで、ほどよく支えてくれる感じです。高そう。

床には大きいピンクのデ・レーヴくんと小さいデ・レーヴくんのロゴがプリントされておりました。デ・レーヴくんの正体がよくわからない(ブリオッシュ?)のですが、なんとなくかわいいです。

ケーキを待ちながら1階のショーケースを眺めていると、坪庭があることに気付きました。近未来デザインとの不思議な融合であります。

そういえば飲み物を選んでくれと言われてたなと思い出して、メニューを広げて悩んでみました。茶プレッソとか茶テラッテはフィリップ・コンティシーニが京都店のために考えた限定メニューとの事です。コーヒーがよかったのですが、限定メニューにひかれてほうじ茶の茶テラッテにしてしまいました。悩んでいるときにお店の方が注文を取りに来たので、勢いで頼んでしまいました。

注文を取りに来た店員さんが、そのまま上の写真にあるカウンターでしゃかしゃか作ってくれたので、まずほうじ茶テラッテがやってきました。ふわふわのミルクがのせられて、とてもクリーミーでおいしそうです。飲んでみたところ…確かにクリーミーでふわふわなんですが、肝心のほうじ茶の濃さが薄まって味わいも薄まってしまっているように感じてしまいました。全く甘くないのでお茶の濃さは残っていてほしかったです。でも自分のように濃いコーヒー好きでなければ、口当たりもよくて好ましい飲み物と思われます。

ほどなくしてメンバー全員集合です。どれもこれもきゅっとしていて美しい見た目…!大きさはどれも小ぶりですが、1つ1つにたくさんの手が掛けられていることが伝わってくる繊細な見た目だけで満足です。

焼き菓子は喫茶限定お菓子とかがあるといいなーと思いましたが、お店でも普通に売っているピスタチオのフィナンシェでした。でもレシピ本にのってて食べてみたかったのでうれしかったです。しかしフィリップ・コンティシーニが本で連発していた「モワルー」な口当たりを期待しすぎたせいか、1口目が若干パサついているのでがっかりしてしまいました。中は確かにしっとりしていましたが、どしっとしたしっとりさではありませんでした。フランス人がもとめているしっとり感がこのレベルなのであれば、しっとりレベルは日本の方が上*1…と思いながらもぐもぐ食べました。ピスタチオの香りはたっぷりで味はおいしかったです。

ケーキはやっぱり、一番衝撃を受けたタルト・タタンにしました。この細長い形もそうだし、かつらむきにされたりんごが何十も層を作って重なりあっている姿は斬新以外の何物でもありません。向こうに見えているピンクのお菓子も実はカリソンで、下に塩味のサブレとフランボワーズのジャムを重ねているのです。こちらも斬新以外の何物でもないのであります。そしてカリソンはねちょっとしたあのカリソンとは程遠く、さくさくでねっとりでフルーティーでとても美味でした。売っているカリソン全種類買って帰りたくなったほどです。

そしてメインのタルト・タタン。リンゴの層も美しいのですが、パイの重なり具合もなんと美しいこと…!こんなに層が残るなんて技術がありすぎる。こんなしっとりしたりんごを重ねているのに、さくさくです。りんごはしっとりとしていてどっしりと甘く、キャラメルの風味がコクを加えてていながらも瑞々しかったです。酸っぱいリンゴ派の自分もこのタルト・タタンはありだと思わずにおれませんでした。こんなケーキが作れるようになりたい。修行したい。

帰りに何かケーキを買って帰りたかったのですが、この雨なのであっさりあきらめました。おいしかったカリソンは直径3cmくらいなのに1個290円!という値段にビビって買えず、結局細長くて珍しい形のクイニーアマンを買って帰りました。ハーフサイズ500円です。ハーフでも結構な長さで、袋にボール紙を入れて折れないようにしてくれました。ええ袋の素材らしく、大雨でも中のクイニーアマンは全くの無傷でした。

中からつやつやのクイニーアマンが出てきました。長いので、半分に割って残りは明日の朝とかに食べようと思っていたのですが、キャラメルのかりかりとざっくりした生地がおいしすぎて、もりもり一気に食べてしまいました。甘さはしっかりあるのに胃にもたれないことに感激しました。何かと高額でたくさんは買えなかったのが心残りですが、大阪には既に進出しているし、そのうち新宿伊勢丹などにも進出してくれるんじゃないかとひそかに期待してます。
タスクを1つ達成した後は、雨の京都をふらふらします。

*1:まあ、上白糖を砂糖と呼ぶ国なので…