Day4 その1 部屋から締め出される朝、GreenPoint、ドーナツ、コーヒー

あっという間に最終日の朝がやってきました。いろいろ行きたいから早く起きなきゃ…早く起きなきゃ…早く……というプレッシャーをかけながら眠りに落ちたせいか、ぶわっと目が覚めた時にはまだ朝の5時でした。
5時はまだちょっぴり早いなー、もうちょい寝るか…、ともう一度眠りに落ちようと目を閉じてベッドに横になりました。が、もう体が目覚めてしまったらしく、横になっていると落ちつかない気分になってきました。とりあえずトイレにでも行くか、と体を起こし、トイレだけだからとキーは持たず、でもドアはかっちり閉めて部屋を出ました。
トイレを済ませて部屋に入ろうとすると、なぜか鍵がかかっていました。え?嘘でしょう?とがちゃがちゃいろいろな方向にひねってみましたが、完全に鍵がかかっている感触しかしません。何でだーーと焦り悩みまくりましたが、そういえば部屋を出る時、ドアノブの真ん中にあるボタンを押したまま出たかも…と思い出しました。日本だとドアに鍵をかけた状態で閉めると、鍵が出っ張ったところがひっかかってドアを閉めることができませんが、米国ではドアを閉めることができ、その後ロックされてしまうようです。ああああ…。謎は解けましたが、現在朝の5時。どう考えてもオーナーさんは眠りの中です。
念のため1階まで下りてサロンの人気を確かめましたが、サロンは休日なので、平日より1時間遅い8時にオープンします、と書きつけられた紙が張り出されているだけで、人の気配は全くしませんでした。8時。3時間どうしよう?と溜息をつきながら宿泊していた部屋がある3階の踊り場に戻りました。
3時間この状態はキツイなあ…どうしよう?と腕を組んで考えを巡らせていると、隣の部屋からテレビの声が聞こえてきました。隣の人、起きてる…。実はお隣に泊まっているのは、どなたか知らなかったのですが、非常事態なので助けてもらうしか無い…と思い切ってドアをノックしてみました。
ドアをコンコンとノックすると、部屋の中に緊迫した雰囲気が流れているのが伝わってきました。朝5時に訪ね人が来たら、こわいですよね…すいません…と思いながらも、続けて数回ノックしました。何度かノックして、荷造り中のお隣の方が出てきてくれました。何度か会話した、ジャズバーめぐりに来た50歳くらいの男性のお客さんでした。完全に怪しまれていたので素早く事情を説明していると、「ああ、そうなんですか…どうしよう。オーナーさんに電話してみればいいのかな?」と宿から配られたPHSで電話をしてくれました。寝てるだろうな…という予測通り電話には出てもらえませんでしたが、お隣さんはもう1度かけてくれて、なんとかオーナーさんが次の電話には出てくれました。事情を説明すると、今から行くのでしばらくそちらで待って頂けますか?と言ってくれました。
お隣にお礼を言って、10分くらい踊り場で待っていると、眠気まなこなオーナーさんが鍵を持って来てくれました。すいません…寝ているところを本当にすいません…と謝ると、寝ぼけまなこながらも笑顔でいいですよー気にしないでください、と言ってくださいました…。ええ人や…と感動しました。

その後、部屋に入りほっとし、朝ごはんの時間まで今日の予定を立て直そうとネットを見ていると、衝撃の事実に気付きました。この旅の最大の目的の1つ、毎週日曜日にDUMBOで行われているSmorgasburgという食べ物ベンダーを集めたマーケットが、この日はアートフェスやっているから中止になっていたのです。ぎゃー、昨日の夜のイベント、今日もやってるのか!このお知らせページ日本から見てたのに、英語だから全然ちゃんと読んでなかった!かなりシュンとしましたが、今日はウィリアムズバーグのBroocklyn FleaでミニSmorgasburgもやるよ、と書いてあったので、もうウィリアムズバーグは満喫した気分でしたが今日も行くことにしました。しかしこの失敗が、後に功を奏することになるのであります。

この日の朝ごはんは生ハムのパニーニとワイルドベリーたっぷりのヨーグルトでした。ハムの塩気がぱりぱりのパニーニに合っていてとても美味しかったです。日本だと冷凍じゃないと手に入らなそうなワイルドベリーがフレッシュだというのも感動するのに、ぷりぷりで大きくて甘かったので、さらに感動しました。アメリカの食材を使ってお菓子を作るのも楽しそうだなーと思いました。

朝ごはんを食べたあとは、Broocklyn Fleaに行くために地下鉄でウィリアムズバーグに向かいましたが、せっかくなのでちょっと行きづらいと思っていたお店に寄り道していくことにしました。ウィリアムズバーグからさらに進んだ駅のNassauで下りると、そこはGreenPointと呼ばれるブルックリンのはじっこエリアです。

駅を出て振り向くと、マッカラン公園が見えました。すぐそばにオシャカフェもあります。散策したいですが、時間がないので入り口を通り過ぎるだけで済ませます。

街の雰囲気はすこし暗くさびれていて、ポーランドの移民街であることを思い出させるような読めない看板がちらちらと視界に入りました。ウィリアムズバーグなどとは全く違う雰囲気です。大通りを5分ほど歩くと、さびれた街並みの中で、人の出入りが激しいお店が目に入りました。見上げると、Peter Pan Donut & Pastry Shopの黒い看板がかかってます。お目当てのお店にたどり着いたことがわかりました!

朝なので、まだ出ているドーナツの種類は数えるほどでした…。が、出ているものだけでもすごくおいしそうです。はやる気持ちをおさえてお店の中に入りました。

手前にドーナツとベーグルが並んだケースとレジがあり、奥がイートインスペースでした。またもやルールがわからなかったのでとりあえずレジの行列に並び、ポーランドの血をひいているのかな?と思われたきりっとした東欧美人な店員さんに、中で食べたいんだけど…と言うと、じゃあ、あっちよ、と奥を指さされました。特に食べたいドーナツなどはきかれなかったので、そのまま奥に行って空いている席に座りました。
しかし、一向に注文をとりにきてくれる気配がありません…。何か聞き取れていない英語があったのかも…と迷い出していたら、隣のお客さんにコーヒーを持ってきた店員さんがいたので、「すいません」と声をかけました。が、聞こえなかったのかそのまま通り過ぎようとしたので、もう一度、「すいません、注文してもいいですか」と声をかけると、くるっと振り向いて東欧系のキツイ顔をさらに鬼のようにして、何かものすごい勢いで怒鳴られました。「今忙しいんじゃゴラアアアアアアア!!!」みたいな雰囲気の事を言ってました。しかし何を言っているのかはわからないので、ショックを受けるよりもキョトーンとしてしまいました。もし言ってる内容がよくわかったら、せっかく日本からやってきたのに、席を立って去りたくなるような勢いでした。わからなくてよかった。でもこれからどうすればドーナツを食べらるんだ?と思っていたら、レジにいた東欧美人の店員さんが通り過ぎるとき、「あら?あなた注文した?」と聞きに来てくれました。よかった…と安心して、コーヒーとショーケースに並んでいるときから気になってたフレンチクルーラーを頼みました。「OK。2.25ドルね」と言われて、あまりの安さにビックリしました。ドーナツが1ドルで残りがコーヒーの値段です。安い。安すぎる。

そして無事に手元に届いたコーヒーとフレンチクルーラー。コーヒーはいつもの薄すぎる酸っぱいやつかと思ったら、割と普通に飲みやすかったです。そして大きなフレンチクルーラー。日本だったら380円くらい取られそうなサイズです。グレーズドもたっぷりかかって、しっかりした固さのありそうな形です。しかし食べてみると、口の中に入れた瞬間からふわっとしていて、ドーナツ生地のおいしさが広がりました。ものすごくおいしい。もぐもぐ食べ進めて気付きましたが、油っこさはまるでなく、すごくおいしい、しっかりしたシュークリームの皮のような味わい深さがありました。これがNYのNo.1のドーナツの味…!ものすごく納得できました。しかも1ドルで食べられるなんて。
もう1個食べたいよー、2番目に気になってたレッドベルベット・ドーナツ食べたいよー!とは思いましたが、お腹の中にこれ以上入るスペースはなく、スペース空いたら入れられるように持ち帰ろうかな?と思いも、昨日のカフェオレドーナツの油ぎとぎとを思い出してとどまりました。レジの行列を見ていると、時間帯のせいもあってかベーグルを買う人が圧倒的に多かったので、もしかしたらベーグルもおいしいのかも…とベーグルを買ってみる気にもなりましたが、行列がなかなか途切れないので気持ちも消えました。
かなり思いを残しながらも店を後にしましたが、SmorgasburgがDUMBOで行われていたら、このお店には来なかったかもしれないので、来れただけでもよかったなーと思い直しました。次はウィリアムズバーグまで散歩して、ミニSmorgasburgを目指します。