青野の上生菓子で去りゆく夏を思い出す


六本木というチャラさとバブルさで満点な街にも、安政3(1856)年創業という、老舗の青野という和菓子屋があると聞いて訪ねて参りました。ごちゃごちゃしている外苑東通り沿いにあるのですが、少しお店は奥まっておるので一瞬見落としそうになりました。六本木とは思えないほど落ち着いた雰囲気で、テーブルも1つあり、中でご近所と思われるリッチなマダムたちが、かき氷を頂いておりました。
横目でかき氷をうらやみながらも、ひとまず水ようかんを購入しました。つるんとした食感かと思いきや、小豆の力強さが残る、すこしざらっとしたのどごしでした。豆の味が濃いので、小豆好きにはたまらないと思われます。でも自分はつるっとした方が好みかな。

遊魚という名前の錦玉羹です。この錦玉のかわいさにひとめぼれして、自分も最終的にはこういう錦玉を作ってみたいー!と思って自宅でいろいろやっておりますが遠い。金魚はようかんでできているんです。見た目のさっぱりさに比べると濃厚な味です。濃い目の冷たい緑茶とかと合わせると良いと思います。

横からみるとこうなってます。豆が美しくもおいしそう。金魚はどうやって作るのかな。

蔦瓢(つたひさご)という名のこのお菓子は、求肥に卵白を入れた雪平と呼ばれるものに、錦玉をのせたものです。白あんをお餅でくるみ、寒天を乗せたブツと書いたほうが伝わりやすいでしょうか。暑い夏の日でも、上の錦玉がつるっとしていて食べやすいです。

でも白あんがちょっと甘みが強かったので、錦玉部分にもうちょっと厚みがあるとうれしかったかな。

「何この生き物」とショーケースに釘付けとなった浜千鳥です。正体はういろう。

中は黄味あんが入ってます。黄味あんは優しい甘さで、どことなく懐かしい味な気もします。ういろうがもちもちしているので、うまく切れなかった。浜千鳥ゴメン。

別の機会に行ったときは、上生の品ぞろえが異なってました。これは清流という名前でした。鹿の子です。見た目が涼しげで美しいです。

中は求肥とこしあんが入ってます。大納言の食感ともっちり求肥の組み合わせが最高でした。清流を表している錦玉が後味をさっぱりしてくれます。創業150年の実力を感じました。

酸っぱいのではと思わせる青梅です。くぼんだあたりが薄い黄色に色づけられていて芸が細かいです。ういろうでできてます。

またもやういろうをきれいに切れない。中は黄味あんです。酸っぱさはみじんもなく、優しい甘さの梅でした。

これまた見た目が美しい、きんとん製の草の露というお菓子です。透明な錦玉がキラキラしているのに弱いです。

中は粒あんなんです。この粒あんが小豆のおいしさ閉じ込めていて本当においしいです。ふつう上生菓子は、見た目が凝っているだけで、味はただ甘いあんの味しかしないものが多いですが、青野の上生は、見た目の美しさもさることながら、食感や味にアクセントが加えてあって食べても楽しいです。そろそろ秋物が並び始めているところなので、近々また訪ねたいと思います。