Day3 その5 ジヴェルニーを散歩して、フランス人にフランス風を吹かされる Paris2010

モネの家を後にし、時計を見たら、まだ11時でした。次のバスは12:20なので、1時間以上時間が空いてます。どうしようかな…と思いとりあえず街をぶらぶら散歩して見ることにしました。

しばらく歩くと印象派美術館がありました。庭園のベンチの回りに、花がたくさん咲いててかわいいな〜と見ていたら美術館にカフェがあることに気付いたので、特にお茶気分でもなかったのですが、時間つぶしにカフェでも飲むかと思い中に入りました。
カフェの中は広々としていましたが、欧米系の年齢層かなり高めの団体10人くらいがお茶をしている以外、がらんとしてました。店員が見当たらないのでどうしよう…とうろうろしていたら、やっと顔を出したので、「ここいいですか」的なリアクションをして、テーブルに座ろうとしました。が、座ろうとしたらその背の小さな若い男子店員は、フランス語で何やら注意するような「ここはダメだ」的口調で喋り、「こっちに座って」と外のテラス席まで連れていかれました。
何で中がダメなのか疑問でしたが、まあそんなに寒くないし、テラスでもいいけど…と思い席に着きました。テラスには2組のお客さんが席についてお茶を飲んでました。ちょうど自分の座った席の両側に2組座っていたのですが、すぐにどちらのお客さんもタバコを吸っていることに気付きました。
かなりの煙が風にのってやってくるので「これはちょっと…」と思い、通りがかって「あら、あなた注文した?」と聞いてくれた女子店員に「タバコ嫌いだから、中じゃダメ?」と聞いてみました。「タバコの煙が嫌なの?いいわよ、中に入りなさいよ。」と言ってくれたので、「ありがとう!」と言って中に入り、先ほど座ろうとした席あたりに座りました。
しかし、いつまでたっても注文を取りに来てくれる人が表れません。唯一、さっきの小さい男子店員だけが、客もいない店内を「は〜急がし急がし!」みたいな雰囲気で、自分の座った席の横の通路を行ったり来たりしているので、何か嫌な予感しながらも、一応「すいません、コーヒーお願いします。」と言ってみました。
すると、そのちびっ子男子店員は、テーブルを軽く叩きながら、「マダム、ここは食事をする人の席なんだ!だからさっき外の席に着けと言ったでしょう!!」と叫び出しました。一応英語で言ってくれていたのでなんとなくわかりました。そこの団体のお客も全員お茶飲んでるんですが…それに女子店員が中でいいって言ったし…とか言い返そうかな〜と思ったのですが、100%言ってることがわかったらかなり傷つきそうな勢いで怒られてるので、この人メンドクサイと思い、「…XXXでXXXもXXだから、外に出て!!」と言い放たれたところで、「OK、外ね〜」と言って立ちあがり、「そう、外だ!!」と言われたところでテラス席じゃなくてお店の外に出ました。
ここまで接してきたフランス人はみんな親切で優しかったので、フランス人意地悪という定説のことを忘れていましたが、やっぱり定説通りああいう人もいるんだな、ということがわかりました。意地悪というか、「店員と客は同列で、客相手でも自分の好みややり方を押しとおす」というフランス風ビジネススタイルを行使されたという感じでしたが…。

あんな言い方してくるカフェで飲むお茶なんておいしくないに違いない!とプンプンして美術館の外に出て、さっき見たかわいい花が咲いたベンチで心を癒そう、と思って庭園に入ったら、もっとかわいいベンチがありました。

座って回りを見ると、かわいい花がたくさん植えられているのに気付きました。

モネの庭のような野生にまかせた庭園ではなくて、かなり美しく整えられた植え方です。向こうにジヴェルニーの山々が見えます。

コサージュにしたいシリーズも発見。つくりもののような蛍光ピンクです。

1つ1つの花はとてもかわいいのだけど、モネの庭のような感激が無いのはなぜだろう…。今フランス人に傷つけられたからかな…と思いましたが、すぐにその理由がわかりました。

…こんな風に、区画されて整えられすぎているからです。モネの庭は植物が好きな方へ、好きなだけ伸びて花を咲かせている感じがしましたが、ここの庭園は規格通りの大きさに押し込められているかのように見えてしまいます。

左手がこんなで

右手もこんなで

似たような植樹を向かい合わせにしてたりして、この庭をデザインした人のやりたいことのために、花を押しこめている印象を受けてしまうのであります。

でも咲いている花は押し込められながらもかわいかったです。コサージュにしたい。

傾斜面になぞの小山が作られている庭園もありました。ここには小学生が何人か来て、先生にこの庭の説明を受けていたので、何か芸術的なモノなのかもしれません。

印象派美術館はもうええわという気持ちになったので、外に出て近くにあった地図をみました。少し足を伸ばしたところにモネの教会があるようだったので、そこを目指しました。道の途中に、かわいい白い花が咲いたつたのからまった迫力のある家があって目を奪われました。それ以外は道路も舗装されておらず、のどかでのんびりとした雰囲気がただよっていました。

10分も歩かないで、教会にたどり着きました。すこし上の位置にあるので、教会に入るのに急な坂をのぼらなければならず少し息が切れました。

中に入って、ええーーと思いました。まだ工事中だったのです…。どうりで新しくてきれいな外観なわけです。しかし工事中でも、誰でも出入り自由なのが、大人の国フランスっぽいです*1

ステンドグラスのはまった窓は完成していました。中に差し込む光が窓を美しく見せてくれます。全体の内装が完成したところも見てみたいなと思いました。

帰りに印象派美術館の前を通った時に、自分が全然見ていなかった方に、白い花のコーナーがあることに気付きました。


印象派美術館に対する印象は、カフェの店員のせいでかなり悪いものになりましたが、この白い花のかわいさで若干印象度が良くなりました。

どこにも行くところがなくなり、どうしようかと悩みましたが、バス乗り場のベンチで本でも読んで時間をつぶそうと地下道をダッシュして駐車場に戻りました。バスの時刻表を良く見ていたら、パンフレットには12:20の時間しか載っていませんでしたが、11:43というのがあることに気付きました。時計を見ると11:40。戻ってきてよかった!!と喜びましたが、11:43になってもバスが来ません。心配になって駐車場に停まっていた観光バスを1つ1つ見ていたら、近くにいたドライバーらしきおじさんに、陽気に「チャイニーズ?コリアン?!」と聞かれました。なぜ、1つ目の選択肢がチャイニーズなんだろう…と思いながらも「じゃぱにーずです…」と気弱にこたえると、「コンニチハーー!これは君の乗るバスじゃないよ!」と言って時刻表の場所まで連れ戻され、「ここで待ってるんだよ!バスが来るからねーー」と笑顔で言われました。フランス人の優しさに再び触れることができて、傷ついた心がいやされました。
その後5分も待たないうちにバスはやってきて、無事Vernonの駅まで戻ることができました。が…、次の電車は1時間後でないと来ないことがわかり、12:20は電車の繋ぎも考慮された時刻だということに気付くのでした。でもVernonの駅には少し広めの待合室があり、何人かの乗客がその1時間後の電車に乗るためにすでに中で待っていたので、自分も待合室で時間をつぶすことにしました。駅の中には淹れたてのコーヒーを出してくれるスタンドもあったので、無理してお店に入らなくてもココでいいやと思えました。でもその時はコーヒー気分ではなかったので、売っていたキットカットを買って食べました。フランスのキットカットは日本のノーマルなキットカット全く同じ味でした。ご当地キットカットはフランスにはないのか。

1時間後、定刻通りに電車は来てくれて、特に問題もなくパリまで戻ることができました。帰りはきちんとチケットに刻印したのに検問がなく残念でした。
パリに着いてから、さすがにキットカットだけではお腹が空いたので、ランチを食べに行くことにしました。

*1:立入禁止にしなくても、ルール守れるよね?的な