2日目 その6 雨降りの桂離宮散歩 京都2013


中村軒で満腹になった後は、急いで桂離宮に向かいます。向かいますと言っても目の前が既に離宮なわけなのですが、地図を見ると入り口はバス停からぐるりと回らないといけないようなのです。左の方から回ると時間がかかりそうだったので、桂川沿いの右の道を選んで歩いてみました。写真だとそれほど感じませんが、とにかく狭い道路で、歩行者が歩けるのは向かって左がわにある白線の内側の狭ゾーンだけなのです。最初の方は側溝にふたがありますが、途中からなくなって段差が半端ないので、道路にはみだして歩くしかありませんでした。両車線から車が走って来るとどうしようもありません…。この道は歩行者が歩いて良い道なんだろうか?と急ぎながらも悩みましたが、帰りに大人な参観者のみなさんが、車がやってきても意に介さず堂々とこの道を歩いていたので、たぶん歩いて良い道なんだと思います…。

反対側に回ってくると入口らしき門が見えてきました。近づいてみると、壁が竹でできてます。なんというオシャレデザイン。そしてなんという味の出方。京都の名所はどこま負けず劣らず美しいですが、宮内庁管轄という、格の違いを見せつけてきてます。しかしここはまだ入り口ではなかった。

竹の壁沿いを進んで来ましたが、一向に入口が見えてきません。まだアプローチがある…。この写真のカーブの果てにやっと職員の方がはがきチェックをするゲートがありました。指定した参観時間に間に合わないかと思って焦りました。
桂離宮は無料で参観できるのですが、申し込みをした上で、決まった時間にしか見学ができないのであります。オンラインからも申し込めるのですが、ハイシーズンでもない6月なのに×ばかりついていて、今回もだめか…とあきらめていました。しかしいろいろ調べていると、オンラインの参加枠よりも往復はがきの参加枠の方が多く取られているということがわかり、試しに往復はがきを郵便局まで買いに行って申し込んでみました。この時1ヶ月前。なかなか往信がやってこないので忘れかけていましたが、2週間くらい前にやっと当選の往信はがきがやってきました。×になっていても、あきらめずにはがきで申し込んでみると良いようです。ただ、紅葉のシーズンはかなりの競争率なので、はがきでも厳しいと思いますが…。

桂離宮の説明と見学時の注意みたいなビデオを鑑賞後、いざ参観開始です。この日は20名ほどおりました。アジア・欧米・中東からやってきたと思われる異国の方も4、5組おりました。一緒に移動するにはかなりの人数です。雨もぽつぽつと降り始めて、後ろの方にいると職員の方の説明がまったく聞こえない状況に…。

参観コースの入り口である御幸門(たぶん)を振り向いてみたところです。この状態でもそこそこ美しいのですが、両側の木が紅葉したら得も言われぬ美しさであろうと思われます…。

残念なことに、写真は許されたタイミングでしか許可されておりません。参観者の中にはお年を召した方も多く、道も平坦でないため、転んだりすべったりして危ないからとの事でした。説明中でも立ち止まっていればOKということだったので、建物や庭の説明を受けているときに、後ろの方でこっそり苔むしている灯篭と水がたまってる何かを撮ってみました。無造作に放置されていたように見せて、簡単に出せない味を見せつけているのに京都の深さを感じます。

計算されつくした池や石の配置にうっとりします。池にあんなさざなみ出るもんなのか。こんなに美しい庭を保持している限りは、京都の人が偉そうにふるまっても自分たちの街にプライドを持っても仕方があるまいと思えます。

1つ目の建物である松琴亭です。雨はますます激しくなり、建物を抜けた向こうの池にざーざーと降り注いでいるのが見えます。建築物にとって抜けは美しさを語る上ではずせない要素なのであります。

この建物のある島に来る前に渡った、一枚岩の石橋です。何百年も前に、こんな岩を削って持ってくるのは大変だったであろうと思われます。しかしすべったりして危ないというのは脅しでは無かった。

別の石橋を渡ってきた後に振り返って撮ってみました。庭内のアプローチはこんな感じばかりです。注意深く歩いていると、修学院離宮ほどではありませんが、参観時間も1時間ほどあるので結構疲れます。

松琴亭の室内です。何だこの北欧チックなカラーリングは…!すごい好み…!とうっとりしました。市松模様もこの色だとモダンデザインに感じられます。当時から本当にこの色だったかどうかは、話しをよく聞いていなかったので謎でございます。

別の角度からも、抜けた向こうに池が見えるのであります。まるで絵画のような美しさです。こんな場所で過ごせたら時間を忘れそうです。今は「移動しますよー」と言われたら、写真を撮るのもやめねばならない身ですが…。

空が開けた場所に出ました。1つ1つの植え込みすべてが美しく刈り込まれております。そのスキのなさのせいか、日本的なじとっとした質感はまるで感じられないのです。

お花はほとんど咲いておらず、緑ばかりでしたが、松琴亭の横に、つつじの花が咲いておりました。雨降りの曇り空の下で、ぱっと鮮やかな色を差して華やいだ気持ちにさせてくれました。
この辺りでだいたい4割くらい進んだところです。参観はまだまだ続きます。