Cafe Sweetsで媚びないパティスリーの未来を思う

cafe-sweets (カフェ-スイーツ) vol.135 (柴田書店MOOK)
愛読書なのでCafe Sweetsはよく読んでるのですが、この号はとても味わい深く面白かったです。パティスリーに日本のケーキの定番・新定番を尋ねるという特集なのですが、都内のメジャーな場所ではなく、シェフが生まれ育ったような地元の街に開業しているお店がたくさん出てきます。石神井公園とか、新百合ヶ丘とか。
で、インタビューの中で多くのシェフが、ショートケーキ、チーズケーキ、モンブラン、シュークリームあたりを「最初は出していなかったけど、お客さまからの要望が多く出すようになりました」…と答えてきます。オーナーシェフをやるような人は優秀な人であろうと思うので、勤務していた都会の高級ホテルではウケるような、パーツをたくさん使った複雑なケーキを作って、尖ってたんだろうなーとか勝手に妄想しました。聞いたことがないからわからないですが、男子がパティシェという職業に夢中になるのは、このパーツを作って組み合わせるのが楽しすぎるからじゃないだろうかと思っているのです。そこにパティシェという職業の価値を感じるから続けるのに、お店を出すと、自分のやりたいことやプライドよりも、日々の売り上げをあげていくことの方が大事なので、そうやって皆丸くなってショートケーキとか作りだすんだろうか…などといろいろ勝手に想像してみたとです。
しかし一人だけインディーズの方がおりました。「ぼく自身がつくりたい菓子をつくる。客層を意識して作ることもありません」ときっぱり言っているシェフが。お客さんにふつうのモンブランがいい、と言われても自分がおいしいと思う変わった形のモンブランを出すらしいのは、大阪にあるやまもと菓子店オーナーシェフの方。一人でお店を切り盛りして、凝ったプチガトーばかりなのはすごいなーと感心しました。いつかお店に行きたいですが、当分西に行く予定がないので、自分が行くまで営業してくれているといいな…と思ってます。
そのほか親子2代パティスリー特集もありましたが、親の職人技が凝縮されたシンプルな美しいケーキに比べ、子のやり過ぎ感が全員共通しているので、味わい深いなーと思いました。