オーボンヴュータンの繊細なケーキやお菓子を手に入れる


前からやろうと思っていた、プチ大井町線めぐりを実行してきました。そもそも大井町線巡り(プチ)をしようと思い立ったのは、いい加減オーボンヴュータンに行っておこうと決心したからです。オーボンヴュータンにも行っておらずに甘いもの好きは語れないと思った次第です。駅からはたぶん5分程度の所にあるのですが、この日は別の場所から15分くらいかけて歩いてきたので、お店を見つけた時の喜びもひとしおでございました。お店に入ると、クラッシクで重厚なお店の雰囲気に圧倒されました。それだけではなく、店員の多さにも圧倒されました。なんか仕組みがよくわからなくて、誰に何を注文して良いのか戸惑いました。なんとかイートインのカウンターに通してもらえました。席はカウンターしかなくて、ケーキ食べたら即帰らないと、と思われる雰囲気です。お昼も食べずにとぼとぼ歩いてきたので、ケーキの他に玉ねぎタルトも注文してしまいました。キッシュもいくつか種類がありました。

玉ねぎタルトは、これでもか!というほど玉ねぎたっぷりです。オーブンで焼いて甘みを引き出した玉ねぎに、生ハムの塩気がからみあって美味でございました。タルトもかりかりでおいしかったです。

メインのケーキは、珍しい色合いにひかれて、タルトダムールを選んでみました。グリーンとピンクのクリームはピスタチオとフランボワーズで、グリーンの方だけ食べると甘さとナッツの香り、ピンクの方だけ食べると酸味のきいた甘酸っぱい味でした。この2つのクリームの下に、カラメリゼされたリンゴがひそんでます。このリンゴは、まわりはしっかり飴色になってますが、中心部はリンゴの芯が残っていてフレッシュさすら感じます。このリンゴとフランボワーズの酸味、ピスタチオの甘いクリームの組み合わせに、さらにタルトの上に薄く敷かれたガナッシュが絡まります。酸味がわりとはっきりしているのに、あまーいクリームとガナッシュが合わせてあるので、ちょっとクセのあるタルトかなと思いますがおいしく頂けました。一番下のタルトは薄いのに、きれいに焼きこまれていて、職人魂感じました。フォークを入れたときにさっくりと切り取れる厚さを計算しているのでは、と感動しました。

アイスコーヒーはエスプレッソを水で割ったのかも、と思われる香りと苦さでした。おいしかったのですが、氷の量が多くコーヒーの量は少なめで、あまりがぶがぶ飲めなかったのが残念です。ワインみたいにちびちび飲むことを強いられるおしゃれグラス。

パンや焼き菓子などもたくさん売っていたので、勉強用に買って帰りました。パンなども売っていたのですが、あらゆる所に店員さんがスタンバイしていて、ゆっくり選べなかったが残念です。よくいる女子のアルバイト風店員さんは一人もおらず、全員男子でした。オーボンヴュータンはバイトは雇わず全員社員と聞いたことがありますが、本当なんだなーと思いましたです。オーナーシェフらしき方も接客していたので、普段は全員パティシェなのかな?人数がたくさんいたので、パティシェ全員店頭に立ってるんじゃないかと思ったくらいです。シフトはどうなっているのか気になるところです。
お持ち帰り1品目はパート・ド・フリュイです。ショーケースの中できらきらしていて心ひかれました。しかしどれが何の味だか説明がなく、近くにいた店員さんに問うてみました。20種類くらいはありそうだったのに、こちらから「あれは何ですか?」と聞かないと答えてくれないので、要領を得ない…と思っていたところその不満が伝わったらしく、「じゃあ、端から全部言いましょうか?」と、面倒そうな表情をされた後、絶対覚えられないようなスピードで次から次へと種類を言われました。「喧嘩を売られている」と感じたので、仕事モードで欲しい種類を暗記して、言い終わった後の店員さんのドヤ顔に「フランボワーズ、洋梨、カシス、オレンジ、キゥイのミックスをください」と言い放ってやりました。
しかしそんな大人げないやりとりの上に手に入れたパート・ド・フリュイは、なんか味が濃すぎて好みじゃない甘さでした。ちゃんとフレッシュのフルーツから作っているとは思われますが、くどい甘さになってしまっていました。まわりのざらめもいらないかも。後でレシピみたら、ゼラチンじゃなくてペクチンで固めているようだったので、自分の好みからいくとぷりぷり感が足りないんだなーと思いましたです。

ふんわりしていておいしそうなこのタルトは、チェリーが焼きこまれたものです。最近チェリーが気になっているので買ってしまいました。たまごの優しいフィリングの中に、酸味のきいたグリオット種のチェリーが焼きこまれています。フィリングのおいしさに感激できます。

マドレーヌとフィナンシェがほしかったのですが、フィナンシェが見つからなかったのでへーゼルナッツが入ったそれっぽい焼き菓子も買ってみました。マドレーヌはぱさぱさ感が全くなく、フィナンシェに近いしっとり感でビックリするほど美味しかったです。ベスト・オブ・マドレーヌかも。ナッツのほうもしっとりしていて、予想通りフィナンシェっぽくて美味しかったです。

でも一番ビックリしたのはこのチョコレートの焼き菓子です。見た目が残念な感じになってしまっていますが、持ち帰る時にはげてしまっただけで、お店ではちゃんとココアをきれいにまとってました。まわりはカリっとしているのに、中央はチョコレートがとろーりとしてきます。ちゃんと日持ちのしそうな焼き菓子に仕上がっているのに、このとろーりはどうやって実現しているのかと、とっても気になってしまいました。このクォリティで200円くらいだったのがすばらしい。
プティ・フールとコンフィズリー―河田勝彦菓子のメモワール
この他、焼き菓子にも生菓子にもプチフールがあり、あまりのかわいさに購入しそうになりました。今回は自分が味を知るため用のお菓子を買おうと思ったのであきらめましたが、手土産などにしたら喜ばれるだろうな、と思いました。チョコレートのお菓子のレシピが知りたくて本屋に行ったところ、プチフールのレシピものった本を発見しました。欲しい。欲しすぎる。でも6000円の値段を見て、そっと棚に戻しました。いつか買うんじゃないかと思ってますが。
全体的にオーボンヴュータンは確かにどれも美味しく、熱狂的に支持される理由がしみじみわかりましたが、よく言われる重いケーキという感想は、自分のセレクトした中ではまだ感じられていません。どちらかと言うと繊細で、多少甘さが容赦してあって、日本人にも合うおいしさとか思ったくらいです*1。本当に重めなのか検証するために、いつかまたケーキを食べに行きたいと思っております。(大井町線めぐりはつづく)

*1:比較対象がイルプルだからだろうか