横浜トリエンナーレ2011に行ってきた

2008年はうっかり逃したのですが、今回はうっかりせずに行って来ました。

今回はいろんな会場に作品が分散されているのですが、全部を見て回る時間が無さそうだったので、横浜美術館日本郵船海岸通倉庫の2会場だけに絞って鑑賞することにしました。まずは浜美です。ウーゴ・ロンディノーネの月をテーマにしたキモかわいい彫刻がお出迎え。この人は3月らしい。

中の子がいるこの人は何月か忘れた。ふつうに見るとこの人が一番かわいかったと思われます。でもこの表面のぬるぬるしているのが指をなでつけた跡だとわかって若干ぞっとしました。
軽いジャブ鑑賞を済ませて中に入ろうとしたところ、チケット売り場にはありえない長蛇の列ができていました。並ぶのがイヤなので、郵船倉庫の方から回ろうとも思いましたが、近くにあるローソンでもチケットを購入できることを思い出して即移動しました。ローソンには親切にコードも書いて貼ってありました。戻ってきても列は一向に進んでない様子で、チケット購入済みの受付列には一人しか並んでいなかったので、わざわざローソンに行った甲斐はあったと思います。

今回感激したのは、館内でも撮影可能な作品がたくさんあったことです!前回行った2005年の時は、外にあるものだけだったので…。ということでさっそく目に付いたものを撮影。これは誰の作品か覚えていないんだけど、タイトルは「何かキラキラしたもの」みたいな感じだったのを覚えてます。

階段を上がっていくと、シルエットが美しい作品が並んでいました。

下から見上げていたときは装飾品にしか見えなかった物体が、上から見下げると心の中にまで入り込んでくる美しさをもったシルエットのアートでございました。シルエットだけ見ると3D的に浮かび上がってくるようにも見えます。

冨井 大裕という方の「ゴールドフィンガー」という作品。壁に貼られたキラキラした絵かと思いきや…

何てことない画鋲をただ並べて突き刺しただけのモノでした。モノの見方とかが一方向からになっていないか、考えさせてくれる作品です。

白い砂浜は床に広がっているこれはウィルフレド・プリエトの「One」というタイトル。

何がOneなのかと言うと、このキラキラした模造品の中に、1粒だけ本物のダイヤが混ざっているらしいのです。宝探しできるのかと思いきや、作品にお手をふれないでください、とクギをさされた!とりあえず眺めるだけ。

これいいなーこんな部屋住みたいー、と思わせたのはトビアス・レーベルガーの「他者」。何が他者なのかよくわからなかった。アートむずかしい。けどかわいいからいいのだ。

有名絵画をキルト化したこちらも作家の作品のようでした。ふつうにベッドルームで使えそう。
並んでたり、映像作品は疲れるのでパスしまくりましたが、それでもかなりボリュームがありました。写真撮れなかったけど気になった作品は

  • マイク・ケリー「シティ」…暗闇に6つの架空の都市が、それぞれ蛍光色や透明に光って浮いてる。形は未来的でもあるし、エロくもある。
  • ダミアン・ハースト 「サムサラ/輪廻転生」「知識の木」…教会にあるステンドグラスのようなカラフルな絵なのかと思ったら、近くでみたら全部ちょうちょの標本…!ギャー!となりました。けどダミアン・ハーストと知って納得。2005年のトリエンナーレに一緒に行った子が好きだったような。
  • マッシモ・バルトリーニ「オルガン」…ダミアン・ハーストの横にあった、巨大なオルゴール。2つセットで見ると荘厳でほんとに教会チック(現代的な)でした。
  • ライアン・ガンダー「何かを描こうとしていていたまさにその時に私のテーブルからすべり床に落ちた一枚の紙」
  • リヴァーネ・ノイエンシュワンダー「テナント」…この2つは1つの作家の作品かと思ったら、別の作家のものでした。ライアン・ガンダーの方は大量の水晶玉(よく見ると中にひとひらの紙が浮かんでる!)が床に直置きされてて、リヴァーネ・ノイエンシュワンダーの方はその水晶玉の後ろのスクリーンでずっとシャボン玉を追いかけてる映像作品。てっきり、床に置かれているものもシャボン玉を具象化したものだと思いました。配置した人のナイスセンスに感服。今回のトリエンナーレでいちばん気に入った作品でした。


オノ・ヨーコの電話の行列を横目に見つつ、1回スタバでコーヒー飲んで、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)の方に移動しました。よく行っている人にはお馴染な神奈川県庁のすぐ近くでございます。この建物がアートの何かに使われていることは知っていましたが、ブックショップやバーなどもあって、一般の人にも利用できることは知りませんでした。

こちらは場所が倉庫なせいか、ワイルド系の作品が多く展示されていました。入ってすぐ目に付くのはデワール & ジッケルのカバ。この会場、何か匂う…とひたすら言っていたんですが、このカバが信楽焼の陶土で、カビ生えてきてたかららしい…。ワイルドにもほどがある。

こちらの会場でいちばん気に入ったのはシガリット・ランダウ「棘のある塩のランプ」。一見ガーリーな形状をしているこのランプは、有刺鉄線に死海の塩が付けられているという、実はハードで深い作品のようです。

シルエットもかわいい。でもかわいいフリして中身はトゲトゲ。ちょっと塩が変色して黄ばんで?いるようです。これがたくさん並んでいる空間は、かわいいというより神秘的でした。

ヘンリック・ホーカーソンのこの作品(木)は、この建物を1階から3階までワイルドに貫いてました!入り口横の根っこが伏線だったと、自分は全然気付けませんでした。自分以外の人の「物の見方」ってあるよな…とはっとさせられました。この場合は正解ですが、正解が無いようなものでも、あるよなー、と*1。その実感が自分の引き出しに入ったのが、今回のトリエンナーレの収穫でございました。

全て見終わって外に出ると、日が暮れかかってました。いつもお馴染の夜景を裏側から見ることがないので、新鮮です。3年後は何しているかわかりませんが、次も逃さず訪れたいと思った2011年秋でした。

*1:何かこの感じを言葉に表すのが難しい。そしてそれ故にアートは存在する。