山の上の一軒家カフェla maison ancienne

相当雨が降ってきたので近場で済まそうと、成就院の境内前の階段を上がる前にチェックしていた、道路を挟んだ向かい側のカフェに行くことにしました。正確に書くと向かい側にあるのではなく、向かい側にある山の上にあるらしく、山のふもとの階段の横に「la maison ancienne」と書いてある看板が置いてありました。

手すりも何もない、野生的な階段を上ぼりきると一番最初に見えるのがこのポストの風景…本当にカフェはあるのだろうか…と不安になりながら、ポスト横の小道を曲がりました。

小道を曲がると、2階の窓を開け放している一軒家が目に入り、どの家がカフェなのかがすぐにわかりました。回りは本当に普通のお宅らしく、ひっそりとしておりました。

家の玄関の前にカフェの看板を見つけてほっとしました。看板前のアンティーク風自転車のおきものがかわいいです。

植物やアンティークの置物がラフに配置されているようで、そこはかとなくセンスを感じさせます。ちょうど人が出てくるところだったので、しばらく玄関先で待ち、靴を脱いで中に入りました。玄関にはお客さんの靴であふれてました。1階がショップとキッチン、2階がカフェのようでした。

昭和の香りがする急な階段をのぼって2階にあがり、ちょうど開いた窓際のテーブルに案内してもらえました。持ってきてくれたお水にはミントの葉が入っていて見た目がとても涼しげです。香りはそんなに移ってはいなかったかな。

テーブルの上には、こんな大ぶりな花器や蜀台、ドライフルーツが入った容器が置かれています。テーブルの半分は占めております。ここも自然にそこに置きました風なのですが、やっぱりセンスの良さを感じます。

天井を見上げるとカゴがたくさんぶらさがってました。カフェに置いてある雑貨やカゴも売り物らしいです。天井は日本家屋なのに、カゴのぶら下がり方がフレンチ風です。

お隣のテーブルの上はもう少し飾られた感があります。アジサイやほおづきのドライフラワーがぶらさがってます。ドライ中なのかもしれない。

そしてそのテーブルの上もかなり大ぶりなスタイリングがしてあります。こぼれんばかりのアジサイがここにも。押入れだったと思われる空間に、ドライフラワーがたくさんぶらさげてありました。このワイルドな感じって、日本人には無い感性だなーと思いました。

ふと後ろの席から、「同窓会がこんなところでできるなんてねえ…」と声がしたので振り向くと、マダムたちの女子同窓会が開催されてました。自分も、いくつになってもこんな雰囲気のある場所で女子会をできたら良いなー素敵だなー、と思わせられましたです。

しばらくしたら注文していたスコーンセットのアイスティーがやってきました。なんとなくこのカフェの雰囲気は、コーヒーよりも紅茶が合っているような気がしたので選んでみました。でも、期待していたアールグレイではなかったので、少し香りが物足りなかったです。やっぱりアイスティーは香りが強いものの方が好きだ。添えられたガムシロ替わりのシロップがかわいいです。使わなかったけど。

エアコンはないのですが、開け放された窓から、緑と雨の匂いを含んだ風が入ってくるので気持ち良いです。お隣の庭の広さがうらやましい…

メインのスコーンもやってきました。フランス風の感性にあふれた、芸術的な盛り合わせです。見た目は美しいのですが…添えられたメロンは甘くもなく、ただの飾りだったし、ジャムはやっぱり小皿などにかわいらしく盛ってくれた方がうれしいなーと思いました。ちなみにセットで800円くらいとお手頃でした。

オレンジピールが練り込まれたスコーンはふんわり系です。さくほろ感がないのが残念でしたが、粉のおいしさは感じられました。2種類のジャムはどちらもおいしくて、甲乙つけがたかったです。オレンジはほどよい酸味と甘みがあり、赤い方は甘さとほろ苦さがあって味の変化を楽しめました。赤い方にはさくさくした果物らしきものが入っていたのですが、りんごかな?違うかな?何だろう…と悩みながら食べ終えてしまいました。

こんな自然を感じられる空間で、向かいのお宅のアジサイを鑑賞しながら食べるスコーンは最高に美味です。いつまでもここでゆっくりお茶していたい気分にかられました。
たっぷりお茶を楽しんだ後は、1階のショップをのぞいてみました。アンティークの雑貨やリネンの洋服と並んで、アロマな香りの練り香水やせっけんも売っていました。練り香水を匂っていると、背後から「ソレ、ココでつくってるんだヨ」と片言の日本語が聞こえてきました。振り向くと、オーバーオールを着こなし、エプロンをつけたフランス人と思われる男子*1がニッコリしながら立っていました。その後、練り香水つけてくれたり、いろいろな商品を説明をしながら案内をしてくれたのですが、完全な冷やかし気分で見ていたため、なんか買わねばならない気にさせられてちょっとイヤかも…と思ってしまいました。しかし商品の説明が終わった後もフリートークしてくれていたので、商品を売り付けるために説明してくれてたのではなかったのかもしれないです。「イケジリハセにもお店があるんだヨ」という情報を手に入れました。

パンやスコーンを買おうかなーと思っていたのですが、棚に並べられていたオーガニックジャムの中から、このジャムが自分のハートを撃ち抜きました。「これバンブーがはいってるんだヨー。めずらしいデショ」と男子にもすすめられました。値段は750円くらい。高いかなーと思いましたが、某コンフィチュールよりも大きくて同じくらいの値段なのでまあいいかと思って買いました。

バンブーとは…そうたけのこの事です!たけのこ、オレンジ、カラメルという面白い組み合わせのジャムなのであります。スコーンに添えられていたジャムもこれだったような気がします。さくさくした食感は、まぎれもなくこのたけのこ!味のほうは、オレンジとほろ苦カラメルがまざりあって、甘さ控えめのおとな味のジャムとなっておりました。たけのこは食感を与えているだけなので違和感はないです。なかなか出合えない味だったので、買ってよかったです。とてもおいしかったので、またリピート買いしたいです。

ラッピングは日本人の女性の方がしてくれましたが、包み方や色合いが、やっぱり日本人の感性ではない風です。あのフランス人男子が指導しているのかはナゾです。かわいいので、しばらく食べずに飾っておきました。

山を下って極楽寺の駅まで戻ってきました。雨は強くなるばかりだったので、今年のアジカンはこれで終わりにしました。たまには思い付きの一人旅アジカンも良いですが、来年はもうちょい計画して、特にメインのアジカン場所を選定しておかねばならない…としみじみ思いました。

そういえば、la maison ancienneに行く小道には、こんなベルベットの小花も咲いてました。野花もフランス風。そう遠くないうちにこのカフェにはまた行きたいです。毎年思ってますが、アジカン時以外でも、もう少し鎌倉に行きたいなーと思っております。(おわり)

*1:アンリ風のブラック男子