Day5 その7 ミルフィーユとレモンタルトとカシスのシューをご飯にする Paris2010

次はラ・モスケ・ドゥ・パリを出て5分くらいの場所にあるカール・マルレッティというパティスリーを目指します。ちょっと中心部からは離れているけど、どうしてもこのお店には行きたい!!と熱望していたお店であります。よくよく考えたら旅の終わりが着々と近づいているのに、熱望したお店に行く前にちょっとミントティーとかすすっている場合ではありませんでした。
お店は遠くないのですが、小道が入り組んでいたため、ちょっと迷ってしまいました。学校や鄙びたドラッグストアがあるマンションの並ぶ住宅街の辺りに出てしまい、あまりの日常的な光景にパリに旅行に来ていることを一瞬忘れました*1。あまりののどかな雰囲気に、自分がこの辺に住んでいて、晴れた土曜日の午後にどこかへ出かけようとしているところであるのではないかという錯覚に陥りました。そんなのどかな気分のまま大きな通りに出て、信号が青だったので渡ろうとしたら、停まっていた原付に「ブブー」と鳴らされました。
緊張感なくしすぎて赤信号と見間違えた?!と焦って信号を確認しましたが、やっぱり青です。「なんで鳴らしとるんじゃ!」と心の中で思わず広島弁になりながら原付を見たら、乗っていたパリジャンと目が合って「Love me Baby!」と叫ばれました。
「えええーーー」と思いましたが、さすがアムールの国は、ナンパ?の仕方も天井知らずだぜ!と妙に感心もしつつ、「ハア?」みたいな顔をするとひかれるかもしれないので、とりあえずヘラヘラして早足で渡りきりました。

渡ってやっとお目当てのカール・マルレッティにたどりつきました!外にあるテーブルで、マダムたちがおいしそうにケーキを食してました。お店の外側は明るいグレーで塗られ、お店の中は黒と白を基調にまとめられていて、モダンで落ち着いた店構えです。

美しいタルトやシューの数々に心奪われ、さんざん悩みまくりましたが何を買うか決められませんでした。ここのスペシャリテミルフィーユだと聞いていたのでそれを選びたかったのですが、レモンタルトも評判が良いらしいし、ショーケースを見ると小さいシュークリームが合体したケーキ?もかわいすぎて選択肢から外すことができません。
悩んでお店の女の子に、「あなたのおすすめを教えて」と聞いたら、「そうね、まずミルフィーユと、××と××と…あ、これもおすすめね。後は…」とひとり旅の者の限界を超える数をすすめて来たので、「あちょっと待って待って、そんなに食べられないからもう大丈夫!」と止めざるを得ませんでした。しかし、それだけおすすめされて、1個だけ買って帰るわけにはいきません。どうしよう〜〜と悩みが増えてしまいましたが、冷静に考えてみました。
あと…今日のお昼と夜と、明日の朝で3食食べるから、…3個は買えるか!
と言う結論に達したので、以下3個を買いました。後悔はしていない。

まず1つ目。3個のプチシュークリームが合体した上に、ラベンダー色のクリームが鎮座する1品です。この子はショーケースの中で「買ってー」とものすごく主張していたのでやたら目に付きながらも、紫のクリーム何やねんと思ったので選びかねていました。しかし、お姉さんにおすすめされたので結局購入しました。見た目はすごくかわいいけど、この紫はあやしすぎる…と思いながら口に運びましたが、…おいしい。と思わず独り言をつぶやいてしまったくらいおいしいカシス風味のクリームでした。クリームの上にはパリパリした飴ものっかっていて、優しい味のクリームと絶妙バランスでした。しかも、クリームは生クリームのようにこってり重くない軽やかな甘さで、中にはふわっとしたメレンゲがひそんでました。見た目も含め、日本ではきっと出会えないブツであろうと思うので、パリに来てよかったなーとしみじみ思えました。

2つ目はやっぱりミルフィーユです。キャラメリゼして香ばしいパイ生地と、バニラの香りでいっぱいの濃いカスタードクリームが最高の組み合わせです。パイ生地はさくさくを超えてザックザックで食べ応えがありますが、口の中でほろほろと崩れ、クリームと溶けあいます。今まで食べていたミルフィーユはなんて軟弱だったんだ!と思わせる硬派な1品です。押忍!

3つ目はやはりレモンタルトです。しっかりとしたタルト生地の中に、とろりと甘酸っぱいレモンのカードが流し込まれています。ほろ苦さと甘さと酸っぱさのバランスはベストです。でも、個人的な好みではもうちょっと固めのクリームでも良いかも。これに関しては大倉山のクール・オン・フルールのやつのが好きかなと思いました。
3食全てケーキに埋められ、さすがに朝ごはんでケーキはキツくて少し胃の調子がおかしくなりましたが、食べてる間はとってもしあわせでした。カシスのシューとミルフィーユはもう一度食べたいです。いつか日本にもやって来てくれないのでしょうか*2

お店の隣にはとてもかわいい花屋さんもあり、3つのケーキを抱えて、ほんとに食べられるかなーと不安になりながらも、幸福な気持ちでバスに揺られてホテルに帰りました。
スタバで買ったあんまりおいしくないフィルターコーヒーとおいしいケーキでお茶した後は、最後の物欲を消費しに出かけます。

*1:と言っても5区なので高級住宅街ですがね

*2:新宿伊勢丹あたり