Day4 その8 国立近代美術館でモダンアートに囲まれ、バスに乗って恋の始まりを感じる Paris2010


パッサージュ・モリエールで癒された後は、かなり殺伐とした雰囲気を漂わせるポンピドーセンターの中の国立近代美術館に入ります。デザインとして工事現場風になっているのに、少しずつ建物が古くなってきて、ほんとに工事途中で放置されている建築物みたいになってました。広場の周りはごみが多いし、ハトのふんもそこら中に落ちているし、ガラの悪い若者どもが若干ウロウロしているしで、この建物がそういう雰囲気に街をさせるように、影響を与えているような気がしてなりませんでした。街の真ん中にあるので、いつ行っても人が多くてごちゃごちゃしていました。
国立近代美術館に入るには、まず2階の入り口でミュージアムパスを見せた後、建物の外にせり出しているチューブの中にある、エスカレーターで4階まであがる必要があります。なんか面倒…と思いつつ、古びたエスカレータに揺られ4階までたどりついたら、4階の入り口でまたパスを要求されました。そして建物を出る時も面倒くさく、メトロの駅に乗るのに近い方の通りにはなぜか出入り口がなく、ぐるーーと回って出て行かなければならないのです。もう見た目だけでなく中身もひどいので、この建物が大嫌いになりました。設計したやつ*1桂離宮の平面図見て勉強して、回れる動線にしろやと言いたくなりました*2

4階と5階の2つのフロアが美術館のようでした。4階は2010年の現代アート総ざらえみたいな企画展をやっていました。これはなかなかおもしろかったです。フランス語が読めないので、いまひとつ趣旨が読み込めないものもありましたが、見ているだけで何かしら伝わってくるのがアートなのでございます。これはそれぞれの小さなモニタの中で、結んだり繋いだり開いたり、といった日常的な手の仕事ぶりが淡々と映し出されています。本当に日常的なよくある動作なのに、こうして見せられると美しいなあと思ってしまいます。

これは紙のような縄のような素材*3のオブジェが天井全体にぶらさがっていて、光があたることで床や壁に映し出される影が美しかったです。趣旨はわかりまへん。こういう空間を支配する系のアートがお好みです*4

天井が床に落ちてる。こういうニヤニヤしながらみられる系も良いですね。でも床のパーツ多すぎる気がする。

小さくてわかりづらいですが、男性がマダムの女装をして主婦の1日を演じている写真の作品です。完全にミニコント(ただしフレンチ風味)。

ぱっと見、クリスマスツリーのようにも見えます。時々光り方が変わったりして、きれいでした。無機物が有機的になる瞬間。
4階フロアは途中から常設展らしきゾーンに入り、美術館の名の通り、近代の作品がたくさん展示されておりました。

これはゴッホだったような気がする…。ルーブルでさんざん見た印象派の作品のミニマム版だと自分は思ってます。「俺はこの光景をこう感じてる」をソリッドに。でもまだわかりやすいね。

さらに進化するとこんなになる。たぶん。誰の作品か全くメモしていない…。何やかんや書く事はできそうですが、ほんとは単にデザインがええなあと思って撮りました。

別の絵が写り込んじゃいましたが、それすらも作品の一部のようで美しいです。淡い色合いがアメリカには無いユーロなセンス。これは珍しく誰の作品か写真メモしてましたが、ブレてるしフランス語だし全然読めませんでした。
4階を満喫した後5階にあがると、さらに有名なモダンアートがフロアにあふれてました。マチスとかアルプとかの大好物が並ぶ様を見て興奮していたら、カメラの電池が突然切れました。…その時の脱力感は言い知れない。大好物の方で電池を切らしてしまうなんて…と愕然としましたが、ミュージアムパスがあるのだから、電池満タンにして、明日もまた来たらいいんだ!と開き直りました。
とりあえずどんな作品があるかだけをさっと下見し、美術を鑑賞しすぎて疲れてきたので、一旦ホテルに帰ることにしました。
帰りのバスで、サン・ミッシェル近くになったので立ちあがってドアの前に移動したとき、突然バスが急停止しました。手すりも何も持っていなかったので焦ってつかもうとしたのですが、思っていた距離の場所に手すりが存在せず空振りし、もうダメだ…!と覚悟して後ろに倒れ…
となるはずだった時に、突然後ろからぎゅっと抱きすくめられました。何!?何が起こった!!?と振り向くと、優しそうなパリジャン(40代)が「大丈夫?!」と心配そうに聞いてきました。「めるしーぼく!めるしー!!」とお礼を連発しましたが、正直倒れてしまうことよりも抱きしめられたことにビックリして動揺しまくりました。助けてくれるにしてもいきなり抱き締めてくるなんて…おじさんがもう少し若くて、自分もかわいいパリジェンヌだったら完全に恋の始まりではないですか。さすがアムールの国、人助けも一歩間違ったら恋の始まりなんてスゴイなーと感心しました。ちょうどバス停に到着したので、もう一度お礼を言ってバスを降りました。
しかし自分もかわいいパリジェンヌではないので、恋よりも食い気なのであります。ホテルで少し休んだ後は、血糖値をあげられるものを買いだしに行くのでございます。

*1:レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャース

*2:ほざいてすいません

*3:紙と縄は結構違うが覚えてない…

*4:その好みが建築科を専攻させた